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*[Interview] 「 Tukiji00-market side」 / 畑山慶

2010.10.6
Tukiji00-market side
Interviewer:Reno*Yamagishi
Photo:Reno*Yoshikawa
本日は建築家畑山慶さんのお部屋にお伺いしました。畑山さんの住んでいるこちらのお部屋は、築地市場の隣にある築45年の古いビル。こちらをオーナーと交渉し、改装費等を一部負担して、畑山さん自らがリノベーションをしています。住み続けて7年。このビルをリノベーションした経緯、畑山さんが思うリノベーション、これからの建築、不動産業界についていろいろと伺ってみました。
Reno* : お邪魔します。へ~ここが築地市場ですか。
Hatakeyama : すみません。市場がやっている時に取材という約束でしたね 。。。今日はお休みでした。普段は朝5時から競りがあって賑やかですよ。
普段は競りで賑わいをみせている卸売市場。築地市場は日本最大の魚市場としても有名。石原都知事が発言した、築地市場移転問題も未解決のままとなっている。
Reno* : ほうほうしかし、この眺望は東京中探してもなかなかないですよね~。空が広いっ!!では早速ですけど、このお部屋に住んだ経緯を教えてもらっても良いですか?
畑山さんが住んでいるお部屋からの景色。築地市場を目の前に、汐留のビル群やレインボーブリッジが見える。夏は東京湾の花火もここから見える。隣地に空き地があり、以前はここでラジコン大会も行ったそうです。
この建物のことや築地市場のこと、リノベーションを行った時の事などを丁寧に教えてくれました。お部屋の天井はほとんど当時のまま使用しているそうです。(中央:畑山さん 右:Reno*山岸)
Hatakeyama* : 僕は 不動産業界を経験した後に設計事務所をやっているので、そういった経験から仕事をする上で建物を借りて、住むため•仕事をするための基盤作りをしたいと思っていたんです。元々僕は高円寺が地元だったので、住むなら高円寺のような商店街のイメージのある街がいいなと思ったのと、外国人から見た日本みたいなところがいいなと思い、浅草、築地を歩いてみました。築地に関しては生まれて2回目くらい。全く無知のまま歩いてみたんです。歩いてみてスグに街の雰囲気は気に入りました。外部の人は観光地の様に見学に来ているのに、内部の人は観光地とは思っていない。その辺が浅草とは違う点でしたね。それからぐるぐる見回ってみてある点に気がつきました。商店街はとても賑わっているのに古ビルの2階より上は、空室で何も使ってないようなものがたくさんあったんですよ。交渉してここに住めないかなと考えたんです。
築地商店街には外国人の姿もちらほら。築地市場が御休みでも観光客が来る人気ぶり。
Reno* : なるほど。何も使われていないのだったら交渉の余地があるという事ですよね(笑)
Hatakeyama : はい。そこで実際所有者の人に貸してくれないかと交渉しに行きました。築地は面白い事に、店の人が所有者だったりするので、謄本をあげなくても直接店に行って交渉出来たんです。所有者に巡り会えなくても近所の人からいろいろな情報が手に入りましたよ。
Reno* : なるほどですねっ!!実際どのくらい交渉しましたか?
Hatakeyama : この周辺を20~30件位回りましたね。その内、話を聞いてくれたのは5件。実際に内部を見させてもらい僕が気に入ったのはこの建物だけでした。
築45年もの月日を経た外観。1階はアーケードのかかった店舗。その上2~5階が事務所・住宅として畑山さんがリノベーションしサブリースで貸し出されている。屋上は常に開放。裏手が築地市場。
Reno* : 交渉する時ってどんな話をするんですか???
Hatakeyama : 『ここ空きっぱなしにするなら、住宅にした方が儲かりますよ。』(笑)
Reno* : (爆笑)確かに。空きっぱなしにするなら誰かに貸した方が良いですよね。
Hatakeyama : この建物のオーナーとの交渉はそんな話から具体的になり、まずはインフラの整備から始まりました。インフラのお金は僕が負担し、『ひと部屋から始めませんか?空室になるのが心配なら、僕が住みますから。』と交渉。その後も他の部屋の管理やリーシングも僕が責任を持つという条件で話は進みました。インフラの整備が整った段階で、僕の部屋をリノベーションしました。その当時はリノベーションという言葉は無かったんじゃないですかね。。。
もともとはオーナーが住んでいたという、現在畑山さんが住まわれているお部屋。元々あった素材をうまく残し、床のフローリングやキッチン、バスルーム、収納等を新規で取り付けているそうです。
(左:畑山さん 右:Reno*山岸)
Reno* : 素晴らしい交渉だと思います。しかも自ら一部を負担してまでやったことにオーナーは喜んでくれたのでしょうね。内部はどのように手をかけたのですか?
玄関は左奥にあり、入ると土間の様な空間がある。正面はカウンターになっていてその奥にキッチンがあり、バーカウンターの様なつくりになっていました。右奥はむき出しの柱。右手前は畑山さんの手。
Hatakeyama : 基本的には仲間と一緒に自分達で改装を行いました。そこまでガッチリとリノベーションしたわけじゃなくて、自分が住むということもあって必要最低限のことをやりました。解体•電気•ガス•給排水関係はさすがに業者にお願いしましたけどね。元々は6畳2間の和室でそれをワンルームにしたんです。使った材料もすぐに手に入るものを3種類ほど使って組みました。
Reno* : 凄いですね~。躯体のザクッとした感じや、元々の和室のなごりも一部残っていて、こういった素材感がリノベーションの醍醐味だと思います。古くからある良い素材や使える素材は使いましょう的な発想は、僕たちも大切にして行きたいです。。。ひと部屋作ってみて、その後はどの様に•••?
玄関から続く土間空間。窓の下部には本棚があり、建築関係の本がずらりと並んでいた。左手前にはスクリーンがあり、普段はそこにプロジェクターで映画やテレビを映し出しているそうです。
バスルーム。防水パンを床に敷き、猫足のバスタブを置いている。窓の向こうは築地市場。お風呂に入りながら花火も見れます。
Hatakeyama* : この部屋をモデルルームのように使って、実際僕が住んでいる様子を友達や住んでみたいと思う人、取材記者等を招き入れ随時開放して行きました。オーナーもそういった様子を見てこれなら貸せると思い、ほかの部屋もリノベーションすることに賛成してくれました。今はちょうどこの下の3階が空き、Reno*さんに募集をお願いしていますが、7年間退去があってもほとんど空室期間が無く稼働していました。
キッチン。天井は何も仕上げずダクトを露出させている。置き型の2口ガスコンロとシンクというシンプルなつくり。背面にはカウンターもあるのでごはんを運ぶのもラクチン。
Reno* : なるほど。今まで全部レジデンスとして貸していたんですか?
Hatakeyama : 7年間の間にはいろいろな貸し方もしましたよ。基本的にはレジデンスですけど、隠れ家レストランやサロン、料理教室が入った事もありました。他に、海外から来た外国人にホテル代わりに使わせた事もあります。そうしたらその後、NYでうわさが広まり泊まりに来る人もいましたよ(笑)
Reno* : 実際にリノベーションをしてから管理をやるまでに苦労したことはありましたか?
知人が作成したという真空管アンプ。お部屋の至る所にスピーカーが備え付けてあり、そこから良い音が流れる。このアンプはそんな良質アンプに留まらず、照明の調光まで内臓されていました。素晴らしい。。。
Hatakeyama : やはり普通のマンションと違って古いが故の問題が出てきます。雨漏りが主でしたね。でも、それもはじめから想定内でしたよ。自分がこの建物を管理して、なおかつ実際に管理人(=僕)が住む事で住人やオーナーに安心感を持ってもらう。何かあってもこの建物に住んでますからスピーディーに対応出来ています。そういった管理をずっとやって来ているので7年間フル稼働出来たんじゃないですかね。オーナーからはビル経営を任せられているような立場です。水漏れや入退室等すべて任せられて責任を持ってやっています。
Reno* : すばらしいっ!!!ビジネスモデルとしては、タダリノ(※1)に近い部分もありますね。タダリノは会社で工事費を負担してサブリースを行っています。会社が責任を持ってオーナーの負担を軽減して空室を無くして行くモデルです。ただ、現状ではコストバランスとの兼ね合いがあり、どのエリアでもどんな建物でも出来る訳ではないというところが問題として挙げられます。僕たちもオーナーの要望に全て応えてあげられず苦心しています。この建物はそういう意味では、古いが故の問題点を逆手に取って解決している。ハードだけでなくソフトもしっかりと繋がりを持ってケアしている部分に将来性を感じます。※1http://www.tadareno.com/
Hatakeyama : タダリノは自社の資本でやっているので面白いと思います。コストバランスはもちろんあると思うんですけど、1部屋ではなく、1棟でやってほしいですね。その方が施工や管理でグロスメリットが出て来ると思います。この建物もそうですけど、オーナー側がこういった取組に興味を持ってくれるかどうかというところがとても重要だと思いますね。
Reno* : そうですね〜。オーナーさまと折半で工事費を負担したり、徐々に手を加えて行くという発想等、まだまだやれる事は沢山あると思います。ここ最近は空室で困っているオーナーさまからの問合せが多く、何か良い方法は無いかと日々考えていたところです。畑山さんが実行に移したこのモデルはとても参考になります。
窓を開けると隣のビルのお魚がっ!!こういうところも築地らしい!!
Hatakeyama : では、そろそろ屋上を見に行きましょうか。
Reno* : 是非、お願いします。
屋上。何処に何があるかひとつひとつ解説をしてもらいました。空が広く感じられとても気持ちが良かったです。
(左:畑山さん 中央:Reno*山岸)
Reno* : へ~気持ちがいいですね~!!あれはレインボーブリッジですか?
Hatakeyama : そうですね。あの右側には夏になると東京湾の花火が見えます。そういうイベントがある時は友達をここに呼びます。他のフロアの入居者も含めて。ごはんを食べながらみんなで花火を見るんです。とても気持ちがいいですよ!!あと、そういうイベントがあると各フロアが開放されて、このビル1棟がイベントスペースの様な感じになっていましたね。入居者の部屋でお酒を飲んでて、混んできたらまた上の階に上がって(笑)まったく知らない人同士が友達になっているのが面白いです。
イベントがあることに集まる屋上。みんなで花火を見たりと、入居者やその友達とも仲が良いそうです。
(左:畑山さん 中央:Reno*山岸)
Reno* : 楽しそうっ!!このビルが一つのコミュニケーションの場になっているのが興味深いです。またイベントがあったら誘って下さいね。
Hatakeyama : ぜひぜひ。
この後も不動産・建築業界のこれからの事、築地市場に外国人用地下カジノ計画を企画したり、築地移転問題の裏話など、お話は永遠と続きました…。これからのリノベーションのあり方、オーナーさまや入居者とのお付き合いの仕方についてもとても参考になったインタビューです。畑山さんありがとうございました。現在(2010.10.13)こちらの建物の3階のお部屋を募集しています。ご興味があればこちらもご覧ください。
現在(2010.10.13)募集中のお部屋。畑山さんの住んでいるお部屋とは異なったテイスト。管理・条件面等自由度の高いワンルームです。
畑山慶/Kei Hatakeyama
建築家
AND LODGE.co代表取締役
早稲田大学建築学科卒業後、マンションデベロッパー2社・マンション販売会社・ゼネコン現場監督・アトリエ設計事務所など、家や建物作りに関わる様々な立場での経験を活かし、現在のデザイン設計事務所を設立。新築、リノベーション、住宅、オフィス、店舗等、様々なメディアで紹介多数。
その他、不動産建築企画、住宅ローンアドバイスも取り扱う。
一級建築士、CASBEE認定評価員、SE構法登録建築士、自立循環型住宅認定講習修了、日建学院講師、IBEC主催「人を健康にする住空間コンペ」審査委員長特別賞受賞
http://andlodge.com/